おはようございます。 金沢のはんこ屋・塩屋です。

窓から差し込める陽ざしがまぶしいくらいです。 ここ数日天候が急変しますが今日の金沢は穏やかです。

さて、お買い求めになったハンコが何かの拍子でワクが欠けてしまう事があります。

一番の原因として印鑑ケースから取り出す際に落としてしまう事があげられますが、欠けてしまうとあまり気持ちの良いものではないですね・・・・

以前、上記が原因でワクの欠けた象牙のハンコを持参された方がご来店になりました。 現物を見せていただいたところ「あ・・・これじゃ欠けてしまうのは当然だ・・・」と思わず心の中で呟いてしまった事がありました。 一見してロボットだけで作ったハンコだったからです。

その理由としてワクが市販のハンコのようにペラペラ(薄かった)からです。 ここで彫刻刀が入っていない、つまり、人の手が全く入っていない事が解ります。これでは高価な象牙印鑑も残念ですね・・・

話は少し変わりますが、毎年東京で開催される印章業界の展示会で初めてハンコの自動販売機を目にしたのは今から7年程前になりますが、今では全国のスーパーや量販店などに設置され消費者ご自身で印鑑を作成できようになりました。

これをご覧になっているあなたも既にご存じの通り、ネットや路面店で激安・激早で販売する印鑑と同レベルのものが一般の方にも作成できるようになったわけです。 「ただし、人の手(彫刻刀)が全く入らない印鑑がです・・・」

捺印してお解りになる通り、普通は文字が太い場合はワクが細く逆に文字が細い場合はワクが太くなります。(文字とワクが同じ太さという事はありません。)

ですからロボット(自販機も含み)ワクを細くするためには、最終的に捺印したワクの太さ(0.数ミリ単位)を最初から作成しなくてはいけない事になります。想像していただければお解りのように、側面から見ると薄い壁のようになります。(これでは強度なワクはできません)

この業界には手彫りができる1級印章彫刻技能士(厚生労働大臣認定)がいます。実は手彫りの場合、ハンコのワクは最後の仕上げ工程で作成するのであって初めから細いワクに彫るわけではありません。

簡単にいえば「土手」(側面から見た場合は台形)のように仕上げます。(前述のものより強度になります)

もちろん、「これで絶対にワクが欠けません!」というわけではないですが、それでも普通に使用する範囲では問題ないはずです。

せっかく高いお金を出して購入した象牙印鑑があまり使用しないうちに何が何だか解らずワクが欠けてしまうのじゃしょうがないですよね・・・

繰り返しになりますが、印鑑ケースから取り出す際は落とさないようにご注意下さいませ~