こんにちは、金沢のハンコ屋、塩屋です。

石の印鑑について、お客様からの問い合わせが良くございます。 宝石印艦など検索すると、ネットでも沢山ありますよね。 まさにそれです。

見た目はとても綺麗なので 「オッ!! いいね!」 と 思われるかもしれませんが、私は※実用印【じつよういん】(※普段使用する印艦、実印、銀行印、認印や会社印など)には不向きだとおもっています。 理由はいたって簡単です。 落すと割れるからです。 ワクが欠けるのではなく、印艦の本体そのものが割れるからです。

もちろん、象牙(ぞうげ)、牛角(旧称・オランダ水牛)、黒水牛(くろすいぎゅう)、柘(つげ)、その他についても、落すと印艦のワク(彫刻部分)が欠ける事はないとはいえません。 不注意で落された時、当たり所によっては、欠けてしまう事もあるでしょう。

ただ、上記については本体そのものが、割れてしまったという話は今までに聞いた事がありません。

宝石印艦に注意しなくてはいけないもう一つの点は、手で彫る事ができない と いう事です。 つまり、人間の手で直接字を書いて、彫刻刀で彫る事ができない(※ 陶器やガラスに彫刻刀は通用しないのと同じ意味です)のため文字はパソコン書体、彫刻はサンドブラストに頼る事にまります。

ちゃんとした1級印章彫刻技能士がこの仕事に携わる場合は、この段階でちゃんとした文字に修正する事もできると思いますが、それが出来ない業者が圧倒的に多いのがこの宝石印艦を扱っています。

※ 下記は作業工程の比較です

【宝石印艦などの石材の作業工程】 1、字入れ(パソコン書体)→2、荒彫り・仕上げ(サンドブラスト)   ※ 人の手が入らない

【象牙印鑑の作用工程】 1、字入れ(筆書き)→2、荒彫り(彫刻刀)→3、仕上げ(彫刻刀)  ※ 人の手がどの工程でも入る

印鑑彫刻には【完全手彫り・手仕上げ・機械彫り】 この3つに分ける事ができますが、そういう意味で宝石印艦の場合、私の見解では限りなく最後の機械彫りに当てはまる事になると思います。

また、出来上がる印鑑の枠の太さと文字の太さは同じようになるのは、3の仕上げができないためです。

もちろん、どんなハンコを購入されるかはお客様のご自由ですが、上記の事を頭の片隅においていただき、お客様が本当にご納得できる印鑑をお求めできれば幸いです。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。