おはようございます。 金沢のハンコ屋・塩屋です。

4月に入って穏やかな日が続きますね。 いい季節になってきました。

さて、今日はちょっと硬い話になりますが問屋さんから仕入れた印材の表面(あなたの文字を彫刻する部分)の殆どが歪んでいる事をご存じですか?

柘植、黒水牛、牛角、象牙といった彫刻刀で彫る印材(手彫りすることが可能な印材)の中でも特に牛角や黒水牛の表面は凹んでいます。

一般の方には解り難いと思いますが、「明らかに凹んでいます。」

ネットでも路面店でも無資格者の方が時間制限を謳って販売する印鑑の中には「捺印してもハンコの真ん中がうつらない」ものがある理由は「※表面を平らにする作業」を省いている事が原因と考えられます。

実はこれ※はとても重要な作業であり私たち印章彫刻1級技能士ではないと中々上手くできない仕事なんです。 専門用語で「印面調整:いんめんちょうせい」といいます。

私の場合を例にあげるとサンドペーパーの表面が異なった3種類以上を使用います。「1、ザラザラとした荒めのもの」「2、割ときめの細かなもの」「3、使い古したもの」「4、テカる程光沢を出すものといった感じです」

ただし、上記を使用する順番も大切です。(以下、1、2、3、4としますね)

牛角や黒水牛の様に凹みが目立つものには先ず1で表面を平らにします。次に2でさらに表面を撫でるように平らにします。

そして、ここで彫刻面に文字を書く作業に入ります。(これを字入れ作業といいます)

それから彫刻作業(荒彫りといいます)にかかり、それを終えてから3、4のサンドペーパーで撫でるように表面を磨きます。(既に平らになっていますのでここでは表面をテカテカに磨くようなイメージです)

そして、そして、ここでやっと(仕上げ作業)にかかり→完成に進んでいきハンコを捺印することになります。

いかがでしたでしょうか・・・? 言葉だけではイメージし難いかもしれませんが、印鑑彫刻作業にはこういったとても地味な作業が含まれます。

おそらく、あなたも上記の事はご存じないかもしれませんが、販売する業者が知らないのには驚きですよね・・・・(^^;