おはようございます。 金沢市のはんこ屋・塩屋です。
先程、燃えるゴミを捨てに外に出た時はポツポツと雨が降っていましたが今は快晴です。
この後も天気が回復していくようです。
さて、先日、お客様からお預かりしたウニコール(一角鯨の角)の彫刻が完成してお渡ししました。
最初、お受けする際に「ウニコール? って何だろう?」と思いネットで検索したところ「一角鯨の角」という事が解りました。
ただ、数十年この仕事をしていますが初めての経験です。 彫刻の感触を知りたく地元の先輩方や印材メーカーにもお聞きしたところ「聞いたことがない。」 「彫刻したことがないので解らない。」 「どんなものか知らない。」・・・ネットで探しても彫刻した人さえ見つかりませんでした。そういうわけで、この印材についての特徴をつかめないまま自分の予測で彫刻する事になりました・・・(大切なお客様の印材なので心配な点もありました・・・)
念のため、「彫刻は保証できませんが、それでもよろしければ」という条件付きで承りました。
こういった条件でも快くご了承いただけた事が私にとっては幸いしました。(お客様には大変感謝しています)
おそらく「象牙のように硬い印材である事と予測し」一旦、全ての彫刻刀を研ぎ直し、かつ、刃金の先も多めにおろしました。(硬い印材にそなえるためです)
彫刻面は3階層ほどに分かれ彫刻刀が入る感触が微妙に異なります。ただ、思っていた通り硬くけっして彫りやすい印材ではないです。
とにかく、ゆっくり、ゆっくり低速で探るように荒彫り(文字の周りを彫る作業)をしました。ここまでは象牙の感触に近いかなと思いました。
象牙とあきらかに異なるのは「仕上げ」(文字の太さを整える作業)です。象牙とは感覚が違います。表現が難しいですが、刃先が切れなくてはどうしようもなくひっかかるような感じです。(普段、仕上げ刀は角度を変えたもので4本使用しているのでこれが幸いしました)
おそらくこの印材については最初で最後の経験になるものだろうと、感触をつかみながら慎重に慎重に彫刻させていただきました。
完成したものをお渡しする際は「これでお目にかかる事はできない」と思うと少し寂しい気持ちがしたのは、それだけ特別な感情を注いだものと思います。 私にとっては貴重な経験になりました。
「幻の印材ウニコール」そう言っても過言ではないと思います~ 「彫らせていただきまして感謝、感謝です!」
彫刻面が3回層になっているのが特徴です(綺麗ですね)
海に生息しているので青色を背景にしました~
「ハンコの彫り直しも承っています。」