こんにちは、金沢市の印章彫刻士、塩屋です。

今日の夕方、北陸地方に台風11号が上陸する事もあり、嵐の前の静けさのように雨が降っています。金沢市内については、風は強くなってはいるものの、今のところさほどではございません・・・・・

被災者の方々には、心からお見舞いいたしますと共に、地元では大した事がない事を祈るだけです・・・・

さて、突然ではありますが、お客様からハンコの値段について、「どうして、こんなに金額が違うのか・・・・???」 と いったご質問をいただく事があります。また、正直、ご来店いただいた場合でも、金額だけを見てスルーされる事もあります・・・・・(トホホ・・・)

私も仕事柄、同業他社のHPを見ます。そして、提示してある金額を見て 「えっ!! 何でこんな値段にできるの・・・・???」 と いう事が多々あります。私がこう思うほどですから、一般の人(お客様)にしてみれば、金額について驚かれるのは無理もない事だと思います・・・・。

金額だけでなく、おそらく納期(できあがるまでのスピード)も全然違いますよね。つまり、「早い・安い」 と謳った業者がこれになります。

印章業界はお客様から見ると解り難い点が多いのではないかと思います。例えば、飲食店を例にあげると、金額が多少高くついても 「ここの料理は口に合うわ!」 とか 「うまかった!」 と満足はできても、ハンコの場合 「いったいどれが良くて、どれが良くないのか?」 な~んて解らないと思いますし、考える事もないと思います。(もちろん、全ての人がこうという訳ではありませんよ~)

私が言いたいことは、一般の人から見える部分は当然の事ながら価格と納期だと思います。ハンコの出来栄えにこだわる方は、10人に1~2人程度ではないでしょうか・・・・・。

これは偶然かもしれませんが、実は上記の割合と同じ程度しか我々印章業界には手彫りのできる人がいないのです。もし、私の言っている事が嘘に聞こえましたら、ご自身のお家の周り(実店舗)を頭に思い浮かべたり、ネットで検索してみてはいかがですか・・・・?

もしかしたら私が言っている割合よりも低いかもしれませんね。

印章業界は完全に2極化されていますので、先に述べた「早い・安い」の業者と、わずかな職人(国家認定の1級印章彫刻技能士)に分かれます。早く言ってしまえば、1、ハンコを売るだけの店(無資格者)と、2、印鑑を彫って売る店(有資格者)になるのです。

それでは本題にはいりますね。(ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。)

1、は当然ハンコを彫る技術はありません。つまり、設備投資してロボットに彫ってもらうか、その設備のある業者で彫ってもらう事になります。

おそらくデータ化、パターン化して作業するわけですから、早い事は早いでしょう・・・・ロボットに丸投げしているわけですから、できるものは同じです(笑)  ※人の手がはいらないので当然その分安くなるわけです。(※彫刻刀が使えないという意味です)

しかし、彼らにとっては、この人の手がはいらない事がコストカットする意味においては最大の強みかもしれません。(弱みは、強みでもあるからです) とにかく1本でも多く売りさばく事に徹することができますよね。

逆に、2、は印鑑を彫る技術があります。おそらく、その店の店主が彫る事になるので、例えば、同じ文字で彫ったとしても同じハンコにはなりません。つまり、唯一無二の印鑑にする技術があります。一つ一つ丁寧に彫るので、大量に売りさばく事は無理です。

技術(こだわり)がある事が、場合によっては弱みになる事もあるかもしれません・・・・・。(強みは、弱みでもありますよね)

偉そうな事を言っているように聞こえましたら、申し訳ありません。 実はこう言っている私自身も服を購入する際は、先に値札を見てしまします・・・・(汗)

私も安さは魅力だと思います。ただ、これを読んでいただいた貴方が、少しでも 「なるほど、だから店によってハンコの値段がちがうのか。」 と 思っていただければ幸いです。

最後に簡単な事をお聞きしますが実際に 「はんこを彫ってるハンコ屋を見たことがございますか?また、ハンコを彫る道具を見た事がありますか~?(笑)」

「長い文章を最後までお読みいただきました事に感謝いたします。」